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人生で1度出会えるか出会えないかぐらいの超希少な資料なので、高額出品です。ことらも高額で15年までに買いました。
この本は、漂砂鉱床で産出する有用鉱物とその随伴鉱物を鑑別・鑑定するためのものです。
この本は、美しい鉱物を観賞するための愛石家向けの写真集ではなく、漂砂鉱床を研究している地質学者や漂砂鉱床の開発を行っている鉱山会社の探鉱担当者のための実用書であり、プロのための鑑定・鑑別図鑑です。大きさ、色や形が理想の鉱物ではなく、実際にソ連全国の様々な漂砂鉱床で発見された有用鉱物とその随伴鉱物がありのまま紹介されており、その鉱物が採取された川名とその地域の地質学的地層も明記されています。写真はカラー写真ですが(一部白黒の写真もあり)、1960年代のカメラで撮影され、当時の技術で現像されて当時の印刷技術で印刷されているので、最近の写真のようにキレイなものではありません。完璧な写真を求めている方は、この資料が向かないと思いますので、購入をお勧め出来ません。
この貴重な本が約60年前にロシア(当時ソ連)で出版された経緯ですが、一次鉱床で発見される鉱物の外観と、二次鉱床で発見される同じ鉱物の外観があまりにも違い、二次鉱床の研究を行う地質学者や実際に二次鉱床の開発を行っている鉱山会社向けに漂砂鉱床の鉱物の特徴を紹介するガイドブックを提供する必要性が出てきたため、このATLAS OF PLACER MINERALSが1回だけ、限定5000部で出版されたのです。
こういった資料は世界であまり作られた例もなく、しかも多言語で書かれていることもあるので、出版された5000冊はソ連とヨーロッパの地質学者や鉱業大学の教授に贈答されたり、鉱山会社の図書室で大切に保管されたり、世界中の鉱物愛好家のコレクションで眠ったりして、この本が出版されたロシアでもなかなか出てくることはないです。 一般的に市販されている鉱物辞典とか愛石家向けに数多く出版されているカラフルな鉱物図鑑に出ている鉱物の写真は、ごく一部の例を除いて一次鉱床のものです。母岩に付着したなぜ漂砂鉱床の鉱物の特徴を勉強する必要があるの?
有用鉱物の産出方法は2パターンあり、一次鉱床と二次鉱床による産出です。 一次鉱床の開発には現地への道路建設や高額な鉱山機械の導入などが必要になり、莫大な費用がかかるため、一次鉱床の鉱脈がせっかく発見されても、その鉱脈が相当有望でない限り、開発までなかなか及ばない場合が多いです。 二次鉱床(=漂砂鉱床)は、採掘が割と楽で低コストで開発が始められるので、鉱産会社は昔から二次鉱床を探すのに必至です。 一次鉱床もそうですが、二次鉱床の探索は河の調査から始まります。 地質的に有望な地域があれば、先ずはその地域の河を調べます。河床の砂礫や土砂などをパンニングして、粘土や砂など軽い鉱物を流した後にパンニング皿に比重の大きい鉱物だけが残ります。その重い鉱物は一般的に【ブラックサンド】と言われ全部砂鉄だと思われがちですが、実際は数種類・数十種類の鉱物が混ざっており、それらをルーペまたは顕微鏡で分析することによってその地域の有用鉱物の分布状況を把握し、そこで調査を続けるか場所を変えるかを決めます。 漂砂鉱床の鉱物の調査は、人間の血液検査のようなものです。検査すれば、含まれているものは全て分かり、体で何が起きているかも分かります。川の調査も同じです。土砂をパンニングして、採取した鉱物の中に有用鉱物またはその随伴鉱物が少量でも含まれていればその地域が有望と見なされ、試掘またはもっと精密な調査が行われます。 随伴鉱物とは、有用鉱物を規則的に追う鉱物のことです。例えば、金鉱床の随伴鉱物は砂鉄、黄鉄鉱、黄銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、硫砒鉄鉱、辰砂、橄欖石、柘榴石などです。パンニングの際に上記の鉱物が2~3種類発見されれば、その地域に金鉱床がある可能性が高いです。複数の随伴鉱物がある特定の組み合わせで発見されたら、ほぼ確実に金鉱床です。金鉱床だけではなく、他の有用鉱物の鉱床の発見も川の調査から始まり、随伴鉱物の発見から始まります。
なぜ随伴鉱物を知ることが重要なの?
皆が見つけたい砂金、砂白金、ベリル、コランダムなどはパンニングではなかなか簡単に見つかりません。特に砂金と砂白金は比重が大きいため、川床の一番深いところまで沈殿します。鉱床がある地域の地形や鉱床が出来上がった時代によって、豊富な砂金鉱床はありますが、近くの川には岩盤の露出が全くないため、砂金が未だに発見されていないケースが多いです。また、実際に砂金が取れる川で、脈石の石英も全くない川も沢山あります。【金鉱の脈石は必ず石英だ。川で石英を発見できなければその川には砂金がない】と考えていらっしゃる方が多いようですが、実際には石英がないから砂金もないということはありませんし、石英があるから必ずしも砂金があるとは限りません。石英の他には方解石、重晶石、フルオライト等にも金鉱が含まれることが多く、硫化鉱床の場合は数え切れないほど種類が多くなります。 多くの砂金掘りは、岩盤の露出を発見できなかった時点で探索を諦めたり、また多くの砂金掘りは30~50センチぐらい掘ったところで砂金が出なければ【この川には砂金がない】と決めつけたりします。しかし、砂金がないのではなく、岩盤が深いだけであって、豊富な砂金床が1.5~2.5メートルの深さで岩盤の上に眠っている時が多いです。それを確実に分かっていれば2.5メートルまで掘る人もいると思いますが、数回パンニングして砂金が出なかったら、その川を諦める人が多いと思います。 また、川に石英があってもなくても、一度はパンニングして、採取した鉱物をルーペまたは顕微鏡で調査することが有効です。岩盤が出ていない川で土砂の上層をパンニングしても砂金が見つかることはめったにありませんので、その川に砂金があるかどうかはパンニングをするだけでは分かりません。何度かやはりパンニングして、採取した鉱物をルーペまたは顕微鏡で見て、随伴鉱物の有無をチェックします。これ以外は、脈石の欠片もなく岩盤が出ていない川の砂金を調べる方法がないです。 実際にあった話ですが、川の中で石英やその他の脈石の欠片がまったく確認できず、岩盤の露出が全くない川がありました。その川でまさか砂金が取れると思う人もいませんでした。隣の川で砂金が発見されてからその川にも本業が農家のアマチュア砂金掘り師が入りましたが、砂金は発見されなかったです。 数十年経ってからある鉱山会社の探鉱チームがその地域の調査を行い、パンニングで川の鉱物のサンプルを採取しました。砂金は一粒も見つからなかったですが、ルーペでしか見えない小さなザクロ石とカンラン石が確認されました。鉱山会社の探鉱担当者はザクロ石もカンラン石も金鉱の随伴鉱物であることを知っていたので、その川をもっと慎重に調査することにしました。 旧川床を掘って、1.5メートルの深さで初めて砂金が出てきて、2.5メートルの深さで豊富な砂金床にたどり着きました。岩盤まで約3メートルの深さがあり、一番豊富な層が2.5~3メートルの間の50センチにありました。随伴鉱物の知識による素晴らしい発見だと思います。 誰が見ても明らかに有望なところは、100年以上前に発見されて既に掘り尽くされています。そうでないところは、発見するのに地質学の知識、漂砂鉱床の鉱物の知識、随伴鉱物の知識などが必要になってきます。岩盤が深く、河に岩盤の露出が全くない川では、随伴鉱物の調査がその川で砂金を発見するための唯一の方法になります。随伴鉱物は比重が軽いほうなので、パンニングで必ず取れます。あとは知識とやる気だけです。
金、砂白金、銀、ベリル、コランダム、トルマリン、ガーネットの随伴鉱物が決まっており、パンニングの際に随伴鉱物が発見されれば、この地域に探検家が探している有用鉱物もどこかで眠っているという印です。それが分かればやる気も出るでしょう。
1961に出版さらた古本のため、NC/NRでお願い致します。